【奉献酒1】



奉献酒ってご存じですか?

奉献酒っていうのは地鎮祭起工式なんかで、
工事の安全などを土地の神様にお願いをする際に神様にお供えするお酒、
日本酒清酒のことです。
 

 



地鎮祭についてはこちらをどうぞ。

 

 

 



地鎮祭では神様に清酒の他にスルメや昆布やお米や塩や野菜なんかをお供えするのですが、
これらはたいていが工務店さんや地鎮祭の祭事業者さんが用意します。

これに対してこの奉献酒だけは列席者が持参してお供えします。



つまり奉献酒は、
我々設計事務所や工務店やお呼ばれした親族さんや不動産屋さんや銀行さんなどの列席者が用意して地鎮祭の際に持参します。

なので地鎮祭を執り行う施主さん、
つまりお客さんは何も用意する必要がありません。
用意するのは神主さんの謝礼だけです。

 

 




この奉献酒というのは日本酒の清酒一升瓶2本を、
紐で縛ったり箱に入れたりして、
熨斗紙に「奉献 持ってきた人の名前」と記して貼り付けた物が一般的です。

銘柄はだいたい縁起の良さげな銘柄の日本酒清酒で、
月○冠とか松○梅とか、
なんてものが選ばれます。



間違えてはいけないのが、
「奉献酒」というのは「奉納酒」「御神酒」とは違います。

奉納酒(ほうのうしゅ)というのは神社などに奉納するお酒のことで、

 

 

 

 

御神酒(おみき)は神前に納めたあと神様からいただくお下がりのお酒のことです。

 

 



たまにいらっしゃるんですよね・・
地鎮祭奉納酒神前酒なんて書かれてるのを持ってこられる方。

酒屋さんで用意して貰えばこんなことはまずないんですけど、
スーパーとかネットとかで用意するとこういう間違えなんかが起きたりします。
知らないんですよね。

 

 

 

ま、
目くじら立てるほどのことでもありませんがね。
 

 

 

お葬式の際に持参する香典袋の表になんて書く?

御香典、御仏前、御霊前?

なんてのと同じような話です。

 

わかんなかったら「供物」なんて書いとくと間違いがないんでしょうけどね。

 




昔は大きな地鎮祭なんかだと樽の奉献酒を用意して、
地鎮行事の後の直会で鏡開きをして皆で飲む。
とか、
そこまではしなくても奉献酒を開けてお下がりにして食事やパーティーしてそこで飲む。

なんてのもよくありましたが、
今ではあんまりやりません。
だって酔っ払っちゃったらその後仕事になりませんし、
ほとんどの人が車で来てますから飲酒運転になっちゃいますので。



直会ではお下がりの御神酒を口だけ付けてあとは流す。
っていうのが普通になってきました。



そんな風に地鎮祭なんかも時代に合わせて変わってきています。
なので奉献酒自体もどんどん変わってきています。



日本酒清酒でも生酒とか吟醸酒とか焼酎なんかも当たり前に、
一升瓶二本ではなくて一本で、
日本酒じゃなくてワインとかビールなんかも見るようになってきました。

なんでかというと、
地鎮祭が終わった後そのお酒は皆で飲みませんから、
お下がりとして施主さんつまりお客さんにお持ち帰りいただくことになるからです。



工務店と設計事務所が持ってきただけでも一升瓶が4本になります。
さらにご親族の方とか不動産屋さんとかが持ってくれば、

一升瓶何本あんねん!
こんなに酒どうすんねん!
だいたい8本も10本もってなると持って帰るだけでえらいことです。

日本酒大好きなのんべの方なら良いのでしょうが、
それにしたって昨今のすっごく美味しい大吟醸とかではありません。
料理酒に使ったって何年分やねん!



ちゅうことになるので、
だったら1本にしてちょっと美味しいお酒にとか、
小瓶にして詰め合わせにとか、
ワインがお好きな方にはワイン、
ビールがお好きな方にはビール、
なんてことになるのです。



お客さんによっては、
うちは日本酒飲まないのでとか、
持ち帰るのが大変なので列席者の方にどうぞ持って行ってください、
なんて方もよくいらっしゃいます。

これを言うと工務店の若者達が色めき立ちます。
まあだいたい飲んべばっかりですから。

逆に言うとそう言ってもらうのを待ってるかもしれません。



うちなどでは最近は、
住宅建築の地鎮祭なんかの場合は、
ちょっと手に入りにくいような美味しいお酒を1本にすることにしています。

ただ、
もったいないので絶対に工務店や業者の若者達には持って行かせません。

おまえらのために用意したんじゃねぇ!
ってね。



日本酒は普段飲まない方でも美味しいって思っていただけるよう、
お酒を飲まれないお客さんの場合などでも誰かお好きな方にあげてください、
喜ばれると思います、
ってね。



実は、
だいぶん前の話しなのですが、
地鎮祭があったのです。

 

 

 


なので奉献酒を買いに行ったわけです。

女房殿がいつもの酒屋さんに行ったのです。
大型のディスカウント酒店とかリカーショップなどではありません。
小さな町の酒屋さんです。

そんな店でしか奉献酒は買えません。
っていうかお酒はありますが奉献酒の作法には出来ません。



今回のお客さんはお酒をあまり飲まれない方なようなので、
ちょっと美味しいお酒にして1本にしようと思い、
女房殿にもいい酒1本にしてね、
と言っておきました。



が、
いつもの酒屋さんには良さげなお酒がない、
と、
女房殿が帰ってきたのです。

普通のしかないと・・



ネットなどでよさげなお酒はたくさんありますが、
奉献酒には出来ません。

奉献酒もあるにはありますが、
普通のお酒で良さげなものではありません。



さて、
どうする?





Atelier繁建築設計事務所HP
http://ateliershigeru.com
よもやま建築日記~家づくりの現場から~
http://ameblo.jp/ateliershigeru/