法律・・・。
建築基準法がまたまた大巾に変わります。
むちゃくちゃ変わります。
それに伴って、建築士法・都市計画法などなども大巾に変わります。
例の姉歯さんのしでかしてくれた事件のおかげで、今、建築業界はひっくり返りそうな騒ぎになっています。
一体全体何がどうしてどうなってるのか?誰にも訳がわかりません、新しい法律を作った人達にもよくわかってないようです。
ただ私が見た所、今回の法改正の基本的な姿勢は3つあるような気がしています。
1つ目は、建築士というのは全てが悪人であり、また施行業者というのは全てが悪人なので、必ず悪いことをするからどんなひどい事をやられても大丈夫なようにしておくこと。
2つ目は、何が起こっても絶対に役人達には責任が問われないようにしておくこと。
3つ目は、これを機会に出来うる限りたくさんの天下り用の公共機関をつくること。
またまたこんな無茶苦茶なことを・・・まあ、戯言だと思って聞いて下さい。
建築ってのは、たった一人の大馬鹿が犯罪行為を行っただけでも、あまりに社会的な影響が大きすぎるんですよね、腹はたつのですが、やむを得ない所も実際あります。
日本中にいったい構造屋が何万人いるのか知りませんが、たった一人のおかげで・・。
どいつもこいつも、役人・検査機関・建築士・施工業者・・皆々自分達には責任が被らないようにするために必至になってるような気がします・・。
ただ、どうでもいいけど早くどうするのかはっきり決めて欲しいですね、誰も知らないんだもん・・役人がわかりませんって言うんだもん・・どうやって建物建てるんさ・・。
来年くらいには確認申請代行料や構造計算料は天文学的な数字になるでしょうから、皆さん覚悟しておいて下さいね。
間違いなく設計料も相応に値上がりしますから、設計料据え置きです・・なんて所には冗談じゃなく依頼しない方がいいでしょう、それこそ姉歯さんに当たってしまいますよ。
今、うちの構造屋さんは既に新法による構造計算で確認申請をしているのですが、ちょっとしたS造3階建ての住宅で確認申請の構造チェックの修正計算だけで2週間もかかったとぼやいています。
昔は・・つまりこの間まではそんなもん1日です。
つまり、その人件費を貰わないと確認申請は出せない・・ということ・・です。
本当にそんな修正計算が必要なのか・・ということは別にしてですが、そこらへんが結局どこまでやるのか・・がはっきりしない、だから全部やる、すると2週間かかる・・ってことなんですが。
ま、それもこれもやむを得ない事ですね、悪いのは我々なんですから。
そんなことは置いといて、法律について思うことです。
いつも思うのですが、何で法律というのは新しい物を付け足していくんでしょうか?
何で変えるのなら今までのこれはやめます、で、今度からこうゆうふうにします・・とはならんのでしょうか?
この世の中で法律の文章ほど複雑怪奇な文章はないでしょうね。
基準法何条の何項何号により施行令何条の何項何号がああなるので、それが基準法何条の何項何号によって、施行令何条の何項何号になり、それが告示何号の規定によるため、これはこうです・・・。
全部そうです。
最初からこれはこうですってすればいいじゃん。
考えるに、なんでそうなるのかというと、ようするに付け足していくからではないのか?と思うわけです。
新しい法律が毎年のように出来ると、以前の法律とのすりあわせが必要になるわけです。
そこで、そのすりあわせる先の法文を変えればいいものを、なぜかその後ろにくっつけるんですな。
この場合はこうしますと。
それが毎年永遠と続いていくと今の法文が出来あがるわけです。
ちょっと計ってみました。
今、最新の(昨年までの)日本建築学会発行の建築基準法令集、建築基本法規が書かれた最も権威ある?あるのか?本です。
建築基準法・建築基準法施工令・建築基準法施行規則・建設省告示以上4法が記載されている本です。
平成17年度版で、(18年は買ってないんです・・どうせすぐ変わるし)厚さ9cm。
すごいでしょ、厚さ9cmです。
もちろんこれは、建築士法、都市計画法、消防法、建設業法、各県条例、宅地造成法、区画整理法、ハートビル法、etc、etc・・・などなどは全部入っていません。
建築基本関係4法だけ・・で、この厚さ。
中は文庫本サイズよりさらに小さい、新聞など比較にならないくらい小さな字がびっしりです。
我々などは、眼鏡はずさないと読めないくらい小さな字が。
今うちにある、同じ日本建築学会発行の建築基準法令集で一番古いのが昭和64年度版で、これは厚さ3cmありません。
約20年で3倍、あと20年たったらどうなるんだろう?27cmになるんだろうか?
でも、内容って新しい事項・・シックハウスとか以外はたいして変わってないんですよね。
ただ、どんどん付け足されていく・・加速度的に増えていく。
うーん、ぜーんぶいっぺんなしにして、一から作り直したら3cmになるんじゃない?
それと、なんと言っても難解なあの文章。
法文の読み方の基本は、まず最後を読むこと。
そこに「・・とする。」とか「・・ことができる。」とあるのか・・
あるいは、「・・ではない。」とか「・・ことができない。」とあるのかで話が180度回転する。
それから、途中の( )内部はとばして読み、後で( )内だけ読む。
でないとその( )が下手すると1ページもあったりするので、わけがわからなくなる。
さらに、最も注意が必要なのが、途中にある「・・または・・」とか「・・かつ・・」とか「・・の場合・・」とか「・・にあっては・・」などなど。
この2~3文字を読み落とすと話がまたまた180度回転する。
なんか、建築学校の先生みたいになってきた。
冗談じゃなく、建築学校や建築士の予備校では法規の勉強というと、ここから始まるんです。
以前、とある役人の偉い人が言ってましたね。
法律の文章ってのは、わざと難しくしてあるんですよ。
簡単すぎると弁護士もお宅らもいらなくなるでしょって。
本当なのか冗談なのかよくわかりませんが、お客さんに聞かれて、ここは高さ制限は10mです!などと簡単に答えられなくて、説明するのに四苦八苦することだけは確かです。
建築基準法が変わることで、構造規定や審査規定が大巾に強化されます。
建物の構造体なども結果的に、今までに比べて信じがたいほど強固にしなければならなくなります。
基本は我々がどんな嘘を付いても、工務店がどんなに手抜きをしても大丈夫な建物にすること。
おかげさんで今、構造体はどれだけお金がいるねん!ってくらい値段が上がってしまい、中国さんの大量建材買い占めと原油価格の高騰が相まって、建設費の高騰に歯止めがかかりません。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造だと、それこそ数年前の倍近く掛かります。
誰かどうにかして下さい。
アトリエ繁建築設計事務所HP
http://homepage3.nifty.com/ateliershigeru/